「こんなことがあるか!!!」

アテナ城の一室で、秋斗の叫び声が響いた。

秋斗はイライラした様子で部屋の中をうろうろと歩き回る。

部屋の中心辺りには大きな机と椅子があり、椅子にはリトレアが座ってずっと俯いている。

「落ち着きなさいよ秋。貴方がイライラしたって仕方ないでしょ?」

険しい表情の秋斗の肩を押さえて、一人の女性が言う。

冬だ。

「これが落ち着いてられるか!!」

姉に押さえられた肩を振り払い、秋斗がすごい形相で怒鳴る。

「秋斗!!!」

「!」

今度は黙っていたリトレアが大声で叫んだ。

彼が叫ぶとは思っていなかったのか、さすがに秋斗は口をつぐむ。

「秋斗の気持ちはわかる。でも、俺たちが取り乱しちゃだめなんだ。俺たちが落ち着いてなきゃ!!」

リトレアの言葉は、秋斗にと言うよりも彼自身に言い聞かせているように聞こえる。

「リトレアの言う通りだな。」

窓の近くで外を見ながら話を聞いていた男性が呟く。

こちらはドルリアである。

彼の手には今日の新聞が握られていた。

「取り乱すのも分かるが、今は焦っている場合じゃない。早めに対処の方法を考えなければ。」

彼等の議題になっているのは、今朝の新聞にのっていた例の死体発見事件についてだった。

「そうそう。また同じ間違いを繰り返さない為にもね。」

冬が言いながら伸びをする。

「17年前もそうだった。これとまったく同じ死体が発見されて…それから壊れていったわ。」

彼女の言葉に、三人は浮かない顔をする。

「まずはアテナ王国が潰れてさ。あの時は皆が混乱して、どうしようかと思ったわ……。……ただ、あの子のお陰ですべてがどうにかなったけど。」

新聞を机に置き、今度はドルリアが口を開いた。

「でも、その代わりに彼は色々なものを失った。俺たちの中で一番小さかった彼が、一番重い物を背負わされる事になった。

……あの混乱が終わってから16年たってもまだ、彼はその重りを背負い込んだままでいる。時々そんな彼を見て、すごく辛くなる時がある。」

ドルリアの台詞に全員が無言になる。

「だからもう…彼のような子供を犠牲者にする訳にはいかない。やりすぎていると思うほどに、今から手を打っておかないといけないだろう。それで何も起こらなければそれでいいし、もしあの時のような“バーサーカーを指揮する者”が現れたら…。」

言いかけて黙った彼の台詞の続きを察し、皆が賛同したように頷いた。

「…とにかく、まずはこの事件の真相をはっきりさせないと。バーサーカーとは無関係な殺人事件だっていう可能性だって、無いわけじゃないからね。秋斗、被害者の人たちの身体は今何処に安置されてるの?」

「あぁ、彼等の身体は城の地下の解剖室に保管されてる。まだメスは入っていない。一番に調べるべきは、体内の血液を奪われた女性だな。」

リトレアに問われ、秋斗は返した。

「そうだね。とにかく一度身体を見てみよう。兄様、冬姉様、一緒に来てくれる?」

歩き出すリトレアに続き、秋斗達は部屋を後にした。

その部屋の隅のタンスの陰では、陰に隠されるように小さな録音テープが回っていた。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・

大人たちの詮索会。

目指して書いたのですが…ん〜ふ〜んみたいな。(謎)

 シリアス入れてみました。




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