「あ〜あ!私も見たかったなぁ〜。」
喜癒のお披露目会が終わった数日後、バーサーカーハンターとして今日も仕事を終えたウィンリアと灯摩は、喫茶店で一服していた。
ウィンリアは悔しそうに言いながら紅茶をすすっている。
見たかったというのは他でもない、喜癒のお披露目会の話である。
結局ウィンリアはお披露目会後のパーティーにも出席できず、喜癒と過ごした散策の時以外は全く楽しい事に参加できなかったのだ。
「そんな顔したってしょうがないだろ?お前寝てたんだから。」
少々呆れた様子で灯摩が諭すが、ウィンリアの怒りは治まらない。
「だって!あれはあの黒いのに襲われたからだもん!見てよこの傷!出来るならあいつには私がとどめを刺したかったわ!」
腕に巻かれた包帯をずいっと見せ、ダンダンとテーブルを叩く。
その音に周囲の客は何事かと目を向けてくる。
慌てて灯摩はウィンリアの頭を軽くはたいた。
「いてっ!」
「馬鹿!もう少し静かにしてろ!迷惑だろ?!」
彼に怒られ、ウィンリアは淋しそうに俯いた。
「うぅ…。だって…だって…。」
よほど悔しさが溜まっていたのか、ウィンリアは涙目になる。
流石に泣かれると困るので、灯摩は今度は彼女の頭を撫でてやった。
「ウィンリア。悔しいのは分かるけど、もうお披露目会は終わったんだ。諦めよう?な?」
「………うん。」
暫く黙っていたウィンリアだったが、いつしか落ち着きを取り戻し小さく頷いた。
まだこちらを見ていた周囲の客も、その視線を自身たちのテーブルに戻していったので、店内は普段の光景にもどっていった。
少し間を空けてから、灯摩は懐から今日の報酬金の入った封筒を取り出した。
若者が大金を持ち歩く事は健全とは言えないが、こうやって一度稼いだ金をその手に取る方が「稼いだんだ。」という気持ちになれると彼は思っている。
今回の報酬は4万円だった。
「灯摩ちゃん、今日はそのお金講座に振り込んだら家に帰るの?」
ウィンリアが聞くと、灯摩は頷いて答えた。
「あぁ。折角稼いだ金を誰かに掏られちゃたまらないからな。今回の取り分どうする?」
二人はチームなので、稼いだ金はその時の戦歴によって分けている。
「ん〜。今回は私あんまり出る幕無かったし、ほとんど灯摩ちゃんが倒したも同然だったから…。全部灯摩ちゃんのでいいよ。」
それに灯摩ちゃんは私と違って一人暮らしだもん。と付け加え、ウィンリアは笑って見せる。
ウィンリアと違い灯摩は一人暮らし、両親はいない為自分自身で稼がなければ食べる事もできない。
それに比べれば自分は両親がいて、そう大金が必要なこともないので取り分は少なくてもいいというのが彼女の弁だった。
それがある為、今までも灯摩の方が報酬金を多く取ることの方が多かった。
しかしそれでもウィンリアの取り分が0でいいというのには反応した。
「それは駄目だ。お前だって頑張ってたんだし、俺が全部貰うなんて出来ない。」
言いながら封筒から2万円を出す。
けれどウィンリアはそのお金を受け取る様子を見せず、その代わりう〜んと考え込んだ。
そしてカッと目を見開いたかと思うと、サッと灯摩の手から1万円だけ受け取った。
「今回は私はこれだけでいいよ!ささっ!灯摩ちゃん、そのお金しまってしまって!」
ぐしゃっとポケットに一万円札を押し込んで、ウィンリアは席を立つ。
突然の立席に灯摩はきょとんとしている。
ウィンリアはあえて灯摩の反応を気にせず、くるりと振り返った。
「ウィンリア…?」
「私、これから約束あるの!今日のところはこの辺で解散解散!!んじゃね☆」
困惑する灯摩にウィンリアはそれだけ言い、足早に店から出て行った。
「…ウィンリア…。」
何もかも突然だったため、取り残された灯摩は暫くの間ポツンと座ったままだった。
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ごめんなさい。何か金々うるさいです…;
一応ファンタジー(?)系統なのでこういう現実的な話は避けた方が良かったんじゃないかと思ったんですが、こういうのもいいかな〜と。
しかも短いです…。
この次の二項目は長くてバトルがありますですので見逃してください(><;)
新キャラも出ます〜。
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